こんにちは。鑑定師の宇佐應凜です。
鑑定をしていると、「良い日」について興味を持つ人に出合うことがとても多いです。写真の撮影をするなら六曜の吉日を選んでいたり、新店舗のオープン日は良い時期の良い日にしたい、引越日や荷物を搬出する日は良い日にしたいなどです。暦上にも大安、一粒万倍日、天赦日など多く存在します。
でも、「実際のところどれが良い日なの?」と思う方が多いようです。確かにそうですよね。
この良い日について、鑑定師の視点で観ていきたいと思います。
暦上の良い日というのは非常に沢山あり、それぞれの意味合いも異なっています。
① 天赦日(てんしゃにち。「天しゃ」とも言う)
(作用)その日1日中が極上の大吉日で、天の恩恵によって何をやっても吉、何の障害も起こらない日とされる。百神が天に上って、地上の万物を生育し、その罪を許す日。
◎ 結婚に関しては最高の吉日。開店、事業の創立、発明、研究の発表などに吉
(期間)立春から数えて、戊寅。立夏から数えて、甲午。立秋から数えて、戊申。立冬から数えて、甲子の各日
※それぞれ最初の日のみともされます
※注:この天赦日のみで「入籍日」や「結婚式の日」を決めるのは待ったほうが良いです
【2020年の天赦日】
【2021年の天赦日】
② 一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
(作用)一粒の種を蒔けば万倍となって稲穂のように実る日とされます。事の良し悪しに関わらず、増えて多くの数になる。少しの物でもやがて増えて多くの数を産み出すことになります。不成就日など凶日と重なると効果が半減するとされる
◎ 商売を始める、開店、金銭を出す
同時に避けるべきことは、
× 人から物を借りる、借金をする(後から苦労が増えるため)
などになります。
(期間)寅月:丑・午の日。卯月:寅・酉の日。辰月:子・卯の日。巳月:卯・辰の日。午月:巳・午の日。未月:午・酉の日。申月:子の日。酉月:卯・申の日。戌月:午・酉の日。亥月:酉・戌の日。子月:亥・子の日。丑月:子・卯の日
【2020年の一粒万倍日】
【2021年の一粒万倍日】
③ 六曜(六輝とも呼ばれます)
(背景)中国の三国時代に六壬の時課として用いられたのが始まりとされます[※一説には、唐の季淳風が作ったものともされます]
(期間)旧暦1月・7月の朔日が先勝、2月・8月の朔日が友引、3月・9月の朔日を先負、4月・10月の朔日を仏滅、5月・11月の朔日を大安、6月・12月朔日を赤口
○ 大安(大安)…大安吉日。祝事、慶び事、何事によらず良し
○ 先勝(せんしょう・せんがち)…古くは、速喜と言われていた。万事急ぐことに吉。訴訟事、勝負事は先手必勝の日。午後は何事をするにも凶
○ 先負(せんまけ・せんぶ)…万事朝より昼間で悪し。昼過ぎより日暮れまで障りなし。勝負事など激しいことは避け、なるべく静かに控えめにするのが良いとされる。お見合いは良くないともされる
△ 友引(ともびき・ゆういん)…午前中と夕刻と夜は相引きで勝負無しの吉日。午刻(11~13時)は、吉慶事に用いて凶。「凶事に友を引く」とされ、葬儀を行なうことは禁忌とされて、火葬場は休みとなります
×赤口(じゃっこう・じゃくこう)…悪日なり。よろず忌むべし。但し、午刻の時(11~13時)一時障りなし。血と関係のあるもの、板前、大工など刃物を持つ商売は要注意ともされます
× 仏滅(ぶつめつ)…大悪日なり。よろず用いうべからず。祝事、法事、結婚式ともに大凶(葬式は良いと捉えられる場合もあり)
※各種カレンダーに記載があります
④ 神吉日(かみよしび。「神よし」とも書く)
(作用)日本独自のもので、神事に関するあらゆることは吉。祭礼、神社参拝、お宮参り、神前結婚、地鎮祭、上棟式、起工式、厄除け祈祷、神棚造り、その他書祈願全て
(期間)60干支のうち下記の23種類になります
乙丑、丁卯、己巳、庚午、壬申、癸酉、丁丑、己卯、壬午、甲申、乙酉、戊子、辛卯、甲午、丙申、丁酉、己亥、庚子、辛丑、癸卯、乙巳、丙午、丁未、戊申、己酉、辛亥、壬子、乙卯、戊午、己未、庚申、辛酉、癸亥
【2020年の神吉日】
【2021年の神吉日】
⑤ 天福日(てんふくび)
(作用)百事良しとされる
(期間)1月・5月・9月:寅の日、2月・6月・10月:亥の日、3月・7月・11月:申の日、4月・8月・12月:巳の日
【2020年の天福日】
【2021年の天福日】
⑥ 大明日(だいみょうにち、だいみょうび、だいみんび)
(作用)唐の大明歴に記載があるもので、大吉日となります。この日は天地に清気がみなぎり、隅々まで太陽が照らすため、あらゆることに吉事、善事に用いて大吉となります。
◎特に、建築、移転、旅行に良い
(期間)60干支のうち、下記の25種類となります
戊午、己巳、庚午、辛未、壬申、癸酉、丁丑、己卯、壬午、甲申、丁亥、壬辰、乙未、壬寅、甲辰、乙巳、丙午、丁未、己酉、庚戌、辛亥、丙辰、己未、庚申、辛酉
【2020年の大明日】
【2021年の大明日】
⑦ 天恩日(てんおんにち。天おんとも書く)
(作用)天恩のある日とされ、あらゆることに大吉。他の吉日と重なれば最大吉となるが、凶日と重なれば中吉
(期間)毎月5日ある。甲子の日から5日間、己卯の日から5日間、己酉の日から5日間
【2020年の天恩日】
【2021年の天恩日】
⑧ 母倉日(ぼそうにち)
(作用)特に、婚姻に大吉日。普請、造作にも良い
(期間)旧暦1・2月:子・亥の日、旧暦3・6・9・12月:巳・午の日、旧暦4・5月:寅と卯の日、旧暦7・8月:丑・未・辰・戌の日、旧暦11月:申・酉の日
【2020年の母倉日】
【2021年の母倉日】
⑨ 月徳日(げっとくにち、つきとくび、つきとくにち)
(作用)家の増改築に吉
(期間)旧暦1・5・9月:丙の日、旧暦2・6・10月:甲の日、旧暦3・7・11月:壬の日、旧暦4・8・12月:庚の日
【2020年の月徳日】
【2021年の月徳日】
ここまで説明してきたものは、あくまでも暦上の一般的な良い日に過ぎません。こういった事を調べてみると、ネットに載っていたりしますよね。
上に挙げた部分だけで判断してしまうのは、待った方が良いと思います。
特に、土地・一軒家・マンションなど不動産の購入、家や庭の改築・増築、庭に木を植える、車の購入、婚約・結婚・入籍・結婚式、離婚、契約、引越し、転職、開業、会社や事務所の移転、店の新規オープンなど大きな動きについては尚更です。
時間(滞在・所有時間など)×距離(移動距離)×物事の大きさ(金額的、人生におけるなど)→ 吉凶の作用の大きさ
となるためです。
全ての吉日を重ねることは不可能と言えます。
吉日を観る上でのポイントは3つあります。
【1】その動きがどのような方位にあるか?(奇門遁甲、気学的な考察をすること)
【2】「あなた個人について運勢的にどうなのか?」を重視すること
【3】その日が吉日として定義された背景とその意味合いを知って活用すること
この中でも【1】が最も重要な要素となります。
吉日の定義を観てもらえば分かるように、十干十二支の組み合わせの半数近くが吉日扱いなど、無理があるような部分もあります。月の半分が吉日のようにもなっていますよね。
同時に、暦上の凶日といった日もあります。